こんばんは、タドコロです。
本日紹介するのは
1968年に発売された『61GS』
62GSに続いて発売されたこのモデルは、
国産初の自動巻ハイビートモデルでした。
この「ハイビート」モデルにもまた、
壮大なロマンが付いてまわるのです。
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国内の精度コンクールが終わり、
1964年からセイコーは戦いの舞台を世界に移し、
ニューシャテル天文台でのクロノメーターコンクールに参加しました。
ここはメーカーの威厳がかかった真剣勝負の場。
車でいえばF1のようなものです。
当然各メーカーは最新の理論と、細心の技術を注ぎ込んだ
ムーブメントで勝負を挑みます。
1964年、コンクール初参加の年は惨敗でした。
せっかく調整したムーブが輸送途中に磁気帯びしてしまったそうです(笑)
翌1965年は輸送用に特殊ケースを作って臨みますが、
またしても入賞はできませんでした。
ここまでは、大きなテンプを採用して精度の向上を図っていましたが、
振動数が高い方が精度が出るということに気付き、
「振動数を上げて勝負をする」という方向転換を行いました。
そして1966年、結果は8位入賞。
これを受けてさらに研究を重ねた結果、
参加開始からわずか4年後1967年に2位を獲得するに至りました。
さらに4〜8位もセイコーが占めました。
さらっと書きましたが、100年以上続く本場スイスの時計産業に
戦後復興した日本の時計がここまでの結果を残すというのは大変なことです。
お家芸を奪われた屈辱とアジア人に負けた屈辱が、ないまぜになったことでしょう。
それを裏付けるかのように、この年のコンクール結果は公表されず、
参加メーカーに測定結果が書面で報されたのみでした。
そして翌年からコンクールは休止となってしまいました。
セイコーとしては残念だったでしょうが、
精度コンクールはもともと技術の向上を目的として開催されていたもの。
コンクールに参加することによってもの凄い進歩を遂げたことは事実です。
そこで得た技術と理論を実際に商品へフィードバックしていった結果、
セイコーは確かな信頼と実績を重ねていきました。
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と、そんな流れからセイコーが得た一つの答え。
それが『ハイビート 36000振動』モデルです。
当然精度を追求するGSにも採用されることになります。
しかし理論では良いと分かっていても商品として販売するには
実用性と耐久性が必要になります。
コンクールの時のように45日間だけ持ってくれれば良い
というわけにはいきません。
歯車やゼンマイなどの部品関係、
強いトルクを安定して供給するための巻上げ機構など、
実現に向けて改良すべき点はたくさんありましたが、
そこはさすが世界最大のマニュファクチュールブランド「SEIKO」
必要な部品をきちんと開発して、難しい難題を実現化させました。
かなりマニアックになるのでざっくりと割愛しましたが、
『61GS』は相当な技術と開発費が注ぎ込まれたはずです。
1968年当時の定価が40000円(大卒初任給が28500円ほど)
かなりの高級品です。
61GSはこの後発売される、
「VFA」や「スペシャル」と言った特別調整機の基礎ムーブとなります。
それだけ完成度の高い機械だったということが分かります。
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また61GSはケースデザインにおいても重要な意味合いを持っています。
それはセイコースタイルを確立したことです。
44GSをさらに改良して生まれたこのデザインは
セイコースタイルとして現在にも受け継がれており、
グランドセイコーの哲学を確立したものです。
その一方で、時代のニーズが多様化したためか
角型ケースや槌打ちケースなど、同商品で複数のデザインバリエーションが用意されたのも
グランドセイコーでは初めてのことでした。
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