こんばんは、タドコロです。
クォーツ時計アストロンが発売された翌年の1970年、
最後のグランドセイコー『56GS』が発売されました。
(その後、1988年にグランドセイコーが復活しますが、
こちとらアンティーク屋なので、基本的にクォーツ以前のことしか考えておりません。
そのあたりのことは悪しからずご了承ください)
1stモデル誕生から10年。
一つの時代を駆け抜けたセイコー社が送る最後の答えがこれでした。
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56GSの特徴は「ハイビート」ながら
テンプの振動数が、10振動ではなく8振動に減少したことです。
クロノメーターコンクールを経て
たどり着いたはずの10振動をなぜ捨てたのでしょうか?
ここでグランドセイコーの歴史をさらってみましょう。
・1stモデル
グランドセイコーの誕生(世界への意識の芽生え)
・2ndモデル
カレンダー付き・ケースの重厚化(実用性を意識)
・44GS
亀戸製のGS誕生(以降、手巻は亀戸・自動巻は諏訪)
・62GS
初の自動巻モデル(より高い実用性と高級化)
・61GS
ハイビート自動巻(自動巻の完成形)
・45GS
ハイビート手巻(手巻の完成形)
・19GS
レディースモデルの誕生(レディースのハイビート)
・V.F.A.
究極の精度(前人未到の機械式時計の到達点)
と、ここまでは様々な背景を踏まえつつ
より良いものをという正当な進化をしてきました。
しかしこの流れで、
・56GS
最後のグランドセイコー(8振動に減少)です。
ここにきてスペックダウンとも言える
仕様変更が行われたことが不思議でなりません。
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私が思うのは単に
「コストダウンを図ったのでないか」ということです。
1969年にクォーツが発売され、
これからクォーツの時代が来るとセイコー自身が一番強く感じていたはずです。
時代遅れとなり兼ねない機械式時計にコストは掛けていられないと、
10振動よりも容易に作れる8振動に変更し、コストダウンを図ったとも考えられます。
さらに時代は大量消費が始まる1970年代。
消費者のニーズも多様化してきます。
以前のように一つの商品でホームランのような大当たりをすることが難しくなり、
いくつかの商品を少数用意して少しずつヒットを飛ばすという風潮が見え始めてきます。
事実、GSの中で最もデザインバリエーションが一番豊富なのが56GSです。
そのような時代背景も手伝って、大きなリスクを避けて
開発費を抑えたかったのが本音ではないでしょうか。
しかし振動数を落とした結果、
「歯車の摩耗が軽減され耐久性が高まった」
という嬉しい副作用が付いてきました。
発売当時は大卒初任給と同程度の40000円、
発売終了となる1975年には大卒初任給の半分程度の46000円という価格設定で
グランドセイコーが身近になりヒットしました。
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もちろん諸説あるでしょうが、
私は上記のように考えております。
世界に誇ったGSの最後がこういう形で終わったことは
寂しい気持ちもありますが、それも時代の流れ。
しかしそういう悲哀もいいものです。
アンティークはそういうことも含めて楽しめるとより面白さを増します。
栄華を誇ったグランドセイコーは一旦お休みになります。
しかしその後しばらくして
1988年にクオーツのGSが、
1998年には機械式のGSが復活します。
そして57GS、44GS、62GSが復刻されたことで
当時のGS達にも注目が集まり、今なお輝きを失わずに存在しています。
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