こんにちは。スタッフのわたりです。
時計の撮影をしていた「これは、面白いな！」と思ったムーブメントがありました。
亀戸工場が製造していた「高振動系」自動巻機械の最終型
通称【５２系機械】
※「高振動系」：８振動や１０振動のハイビートムーブメント
亀戸精工舎設計の最後を飾る機械として、
キングセイコーやロードマチックなどの「スペシャル」バージョンに幅広く搭載されていました。
面白いと思ったのは、初期のキャリバー5206Aをグレードアップした「キャリバー5216A」。
5206Aとはテンプの調整装置が変更され、「ダイヤ・アジャスト」という
調整のしやすさを追求した仕組みを採用しています。
・緩急針微動調整装置
・片振り修正装置
・アオリ調整装置
この３つの装置を総称し「ダイヤ・アジャスト機構」と呼称していました。
簡潔に説明すると、
【緩急針微動調整】
時計の進み、遅れを調整。
《日差+○○秒》と言ったりする部分。
【片振り ／ ビートエラー】
テンプの振り幅を調整。
柱時計の振り子をイメージしてもらうとわかりやすいと思います。
均等でないとパワーが落ちてしまいます。
【アオリ】
ヒゲゼンマイとヒゲ棒との間隔のこと。
文字盤が上のとき、下のとき、横のときなど、
時計の向きが変わったときに起こる姿勢差を抑える。
この３つの調整装置が集約されています。
それを踏まえて見てもらうとこうなっています。
修理職人に聞くと、この「アオリ」の部分を調整するのが意外と大変で、
ヴィンテージムーブメントの中には、なかなか触りたくないものもあるとか。
今回、５２系機械のメンテナンスをしてもらったところ、
「かんたんに微調整ができるので非常にありがたい！
調整することを前提に設計された、職人に優しい機械だ！」
とお褒めの言葉をいただきました。
何十年経ってもメンテナンスをして使ってほしい。
というセイコーの優しさが感じられる逸品です。
【SEIKO／セイコー】LORD MATIC／ロードマチック／LMスペシャル
オクタゴンケース／純正SSブレス／Ref.5216-7110／自動巻／1974年製
ムーブメントにも拘る
それでは。
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